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トウキョウソナタ

トウキョウソナタ - goo 映画


トウキョウソナタ2
10月11日 映画館にて


家に帰って、まず最初の一言。
「あのさあ、リストラされても隠さなくていいからね。」

私の子供は軍隊に入りたいとは言わないだろう。ピアノの才能もなく理不尽な先生にたてつくこともないだろう。夫はリストラされて失業中というわけではない(たぶん)。もし私がドーナツを作ったら、それは大して美味くはなくても、みんな食べてくれるはず。

それなのに、なぜか身につまされてしまったのはなぜだろう。




映画の感想ではないのだけれど、時々隣に座っていた友人の寝息が聞こえてきた。
私としては、吃驚だ。
この映画、淡々としてはいるけれど、決してつまらない映画じゃないよ。でも、誘ったのは私・・・。悪い事しちゃったかなと、気が散ってしまった。後で聞いたら、館内はやたら暑くて、途中からエアコンが入って涼しくなったから、急に眠気が襲ってきてしまったらしい。
でも、こういう映画ではなかったら、友人は眠くはならなかったのかもしれない。
そんな番外でもいろいろ考えてしまったのだった。


しかし、この作品からも贈られてくるメッセージは多い。



いっけん、リストラお父さんの家族に内緒の奮戦記の様に見える。空の巣症候群のお母さんの再生の話にも見える。人生の目標を見つけられなくて、あがいているお兄さんの話が添えられているように見える。大人たちのルールの中で、ぶつかり押し込められそうになりながら、それでも思いのままに生きようとなにげに頑張っている、小学生の子供の話が、そこにあるように見える。

そんな家族の、日常を追っているように見えるが、そう思ってみてしまうところが何気ないマジックだと思う。

終盤に、そんなことは普通にはけっして「ナイ」と言うエピソードが炸裂し、この物語は終わりを向えるが、それさえも食事をするという日常のシーンで、包まれていってしまう。

非日常が、日常に見える、不思議な映画だった。


<以下ネタバレ感想> ↓
トウキョウソナタ


 「救命ボートは行ってしまった。俺達はゆっくり沈んでいく船のようなもの。」
と、津田寛治が演じる男は、そう言って浮浪者たちの行列に加わって去っていった。竜平の友人でリストラ三ヶ月以上の男。去っていくシーンが亡霊の列に加わってしまったような、なんともいえない印象の深いシーンだった。そのシーンを見ると、容易に次の展開が分かってしまう。・・・が、悲しい。


 同じ年頃を持つ子供の親は、いろいろな立場でこのシーンは、印象深かったのではないかと思ったのは、兄の軍隊志願の親子の会話の部分だ。
父は頭ごなしに反対する。母は自分の気持ちは語らずに譲歩して、子供を理解し、子供の心を掴んでいる。だけれども・・・と言う所。
自分の思うこと、考えていることを母として伝えることは大切だと思う。そんなことでは子供の気持ちは離れるものではないよと感想を持つが、実は語っても、子供と言うものは自分の思うようにするものだったなと思い出す。

 順番がバラバラだが、冒頭の嵐のシーンで、吹き込んだ雨を吹こうとする小泉さんのシルエットが美しい。映像が綺麗だ。

 その小泉さんを見ていると、頭の中で
「なんてたって~♪ コーイズミ♪」と歌いたくなる。なんだか、素敵な彼女を見ていると奇妙な安心感があって、ちゃんとなるようになるのだ。この母は、強いのだと思えてしまう。

役所演じる泥棒に、言う。
「あの海の向こうに見えるのは島なの、それとも船。」
「俺には何にも見えなーい。」となげくシーン。

朝、たった一人の恵(小泉)。タイヤの後は真っ直ぐに海の中に伸びている。
ゆっくりと呼吸に合わせて、彼女が再生していくのが分かる。美しく秀逸だ。

絶望だけの泥棒と海辺への逃避行。舞台劇のような母の一夜。


 片や韓国映画のようなノリの父の一夜。今では仕事場のトイレで、彼は大金を拾う。そのお金を持って、彼は走り出す。ただひたすらひたすら真っ直ぐと。いらつくほど真っ直ぐと。そのたびにゴミの山やダンボールの中に突っ込むが、ダンボールの中の彼があまりに似合っていて、未来図のようで怖い。「やり直したい、やり直したい。」と呟く彼に、思わず心の中で「何処から」と尋ねたくなってしまった。
朝が来て、遺失物ボックスに大金を投げ入れ、何事もなかったかのように家に帰る父。


 そして、子供は・・・。
もう子供の話はどうでもいいや。あれは子供の願望だ。

とにかく怒涛のようなそれぞれの一夜が去るわけだ。

兄は軍隊を除隊して、アメリカで生きる道を見つける。
そして弟は、音大付属中の受験で人々を感動させ、父と母は誇らしげに去っていく。
最後には、上手く纏まりなんだか「リトルダンサー」音楽版を見ていたかのような錯覚さえしてしまい、微妙な感動すらしてしまう。


 人は何かきっかけがないと、その山は越えられないような気がするが、本当は夢のような夜を越えなくても、その山は越えられる。何度も出てくる食事風景、同じように繰り返す日々。本当の本当の人生の山越えはそんな繰り返しの中にある。・・・、と私は思う。

良く練られ計算された作品だったと思う。2008年カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で審査員賞作品。



監督・脚本
黒沢清

出演
香川照之
小泉今日子
小柳友
井之脇海
井川遥
津田寛治
役所広司


theme : 日本映画
genre : 映画

tag : 小泉今日子 香川照之

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希望のソナタ

こちらも地味ながら、キャストの熱演が光る作品でした☆
ほぼ全ての登場人物に共感というか、共鳴する部分もあり
見守るように観ていました。
別々の思いを抱えながらも、一つの食卓につき、
黙々と食べるシーンがこわくもあり、心強くもあり、印象的でした。

NoTitle

おとうさん、「うわーっ!」っていう気持ちで走り出したのは分かるけど、ごみに突っ込みすぎ、やりすぎに思えました。
やりなおしたい×2の叫びは、具体的ではないけれど心から出たものに思えました。
1日1日の日常を、いかに大切に送るか、大事だなと感じます。

kira様

丁寧にコメントをありがとうございまます。
>ほぼ全ての登場人物に共感というか、共鳴する部分もあり 、見守るように観ていました。

私も同じような気持ちだったと思います。

家族は実は別々の人生を生きているわけで、それぞれの人生と向き合っているのですよね。そんな家族が絡み合い向き合う「食卓」と言うものの大切さをしみじみ感じました。

ボー様

私も、あのお父さんと同じように「やり直したい」と常日頃思ってしまうこともありますが、それは何処からなのかと思うわけです。高校受験の頃、だんなと結婚する前、太ってしまう前、そんな辺りからやり直したい・・・かな〈笑〉

でも、当然の事だけれど、やり直すと言うのは過去に戻ってと言うわけではなく「今、ここから」と言う意味なんですよね。

>1日1日の日常を、いかに大切に送るか、大事だなと感じます。

胸が痛い言葉ですが、大切なことですね。

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