「ひとよ」
この映画は、映画館で予告編を見た時から、見たいと思っていたように思う。
なんたって配役が良い。好きな人ばかりだから。
物語も、服役を終えた母を子供たちはどのように向かい入れるのだろうかと気になった。
他の人から見れば、何の事のない夜でも、自分にとって特別な夜がある。
確かに。
母、こはるにとっては、暴力男の夫を子供たちの為に殺したあの日の夜がそうだったのだと思う。
だけど子供たちにとっても、殺人犯の家族を持つと言う、人生が一変してしまったあの日の夜が、その特別な夜だったに違いない。
子供たちを守った。母はそれを誇りに思っていた。
父の暴力と戦っていた子供たちは、その日からもっと大きなもの、見えない何かと戦い続けなければならなかった。
それを知っても、母は後悔などしない。そうでなければ生きられないと思う。
15年という歳月は、本当はもっといろいろな事を考える時間があったはず。きっと母は獄中で様々な事を思い、1周回ってきたに違いない。いや、そんな事はまったく描かれていないけれど、そう思わなければ、なんだか府に落ちない。
またも「映画.COM」の「ひとよ」の解説を読む。
『女優で劇作家、演出家の桑原裕子が主宰する「劇団KAKUTA」が2011年に初演した舞台を佐藤健、鈴木亮平、松岡茉優、田中裕子の出演、「孤狼の血」の白石和彌監督のメガホンで映画化』
なるほど。元々は舞台なんだ。
言われてみると、そんな感じがして納得できる。
無責任に批判する人たち以外、周りの人が皆暖かいのが、気持ちがいい。