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「王妃の紋章」

ouhinomonnsyou
王妃の紋章 - goo 映画


英題は「curse of golden flower」。金花の呪い。
原題は「満城尽帯黄金甲 」。満城尽く帯ぶ黄金の甲 (まんじょう ことごとくおぶ おうごんのこう)と読む。これは重陽の為に城の庭内に敷き詰められた菊の花を連想させるが、または違う彼らを暗に指しているかと思われる。
邦題は「王妃の紋章」と、英題原題に遠いような気もするが、王妃側の兵士達の菊の刺繍入りのスカーフ(?)を見ると、あまり違和感を感じない。上記の者達と同じだからだ。ただ、ラストがあんな終わりだとは思っても見なかった。

タイトルから来る物語展開のイメージって、ないだろうか。
「王妃の・・」とタイトルに付くと、どうしても視点がそちらサイドに傾いて、こんな所で終わるのかと愕然としてしまったのだった。

<ネタバレ感想です。>

あれでは負けっぱなしではないか。
薬をぶちまけて、で、どうなったのと誰かに聞きたくなってしまったのは、私だけではないと思う。


せめて王妃も次男の姿も消えて、家族が誰もいなくなってしまった高台に一人だけでずっと
座り続ける王の姿を、さらに高みから見下してやりたかった。


見終わった後にかなりショックな気持ちが続いてしまった。何にといったら、私は三男の死に様に。

この人たち、おかしいよ。
って、書いたら、何を最初から見ていたんだと言われそうだ。
王妃は継子の皇太子と不義の関係を続け、それに気が付いている王は、妻に毒を飲ませている。そしてその事を気が付いている王妃は、それでも毒を飲み続け重陽の節句の夜に謀反を起こすべく準備している・・・・

不義の相手の皇太子は、愛に溺れていると言うわけでもなく、他の女性とも情に通じている。が、その女性の父は王妃に毒を調合している医者であり、その母は王に恨みを抱く皇太子の実母で王妃の密偵だった。

こういうのを愛憎渦巻くと言うのだろう。そこに父を尊敬し母を愛する次男と、振り向いてもらえないがゆえにいい子を演じ続ける三男が絡んでくる。

おかしくないわけがない。
王は王になりたいが為に、皇太子の母の一族を罪に落としいれ、その母を切り捨てた。息子にはその母は死んだと伝えたのだった。が、王の心には自分で切り捨てたにも拘らず、その女性の事を思っていた。ゆえに寂しい王妃は不義に走ったと言う構図にならないだろうか。それなのに自分の一族を滅ぼし自分を切り捨てた王を恨んで、王妃の密偵になった皇太子の母は、王妃の味方をしたからといって、王によって命を狙われる。

原作は曹禺の代表作『雷雨』。
1910年代の天津租界。炭鉱王・周の豪邸で繰り広げられる愛憎劇で、ある雷雨の一夜にすべてが崩壊する悲劇となっている。(http://www.asiancrossing.jp/focus/2008/0415/2.html)

それをチャン・イーモウ監督が作ると、こうなるのか・・・
豪華絢爛、城も衣装も。人だけは掃いて捨てるほどいるぞを地で行った、さすが中国と妙な所で感心してしまった人海映画だった。(注:『人海映画』って何だろうと突っ込まない事)

家族の愛の大切さを説き、その儀式に五常の徳を書き綴る。王の口からは権力者らしい立派な言葉が飛び出すが、行動は違う。

重陽の夜、王妃の思惑、王の思惑とは別に、それまでは彼らにとってその存在すら、ないに等しいかのようだった三男にも思惑があった。この三男は王妃の子供ではなかったのだろうか。何か見逃したのだろうか。
愛すべき皇太子を殺してしまったのは、同じ息子。王は彼と対峙する時急所を外して、彼を刺した様に見えた。
―息子なのだし、思いがけない出来事でも、そうなるよな。
と、瞬間私はそう勘違いした。が、違かった。ベルトで嬲り殺し。
気持ちの悪い男だ。
愛する男を殺されたからって、何処かにいってしまう王妃も変な母だ。

だけど良く考えてみれば、宮廷の外では、蹴散らされた菊の花びらのように大量の死体の山なわけで、そちらに無反応なのも、私がおかしいのだろうか。でもあり得ない映像にはヤンヤと拍手を送り、ありえる映像には、打ち震える、それが人の反応と言うものなのかとも思う。
大量虐殺でありながら、戦闘シーンはやっぱり凄いよなといたく感心してしまった。

が、それよりも吃驚し凄いと思ったのは、繰り返しになってしまうが、あっという間のお片づけ!!

母の命を守りがたいが為に謀反に加担した次男に、王が下した罰は、母に毒入りの薬を今後飲ませ続ける事だった。
母殺しなどできるはずのない次男は自らの命を絶つ。
最後の薬を拒絶した王妃であっても、その先は既に見えてしまっている。

が、ここで終わってしまう。そしてまた私の繰り返し・・・
で、どうなるの・・・。

どうもならないんだ。このどうにもならないもどかしさこそが、監督からの為政に対するメッセージなのかも知れない・・・・なんてね。


どうでもいいことだけれど、どうも目が王妃や女官の胸と指先にいってしまう。
薬を飲む時の王妃の振る舞いの美しさで、余計に恐ろしさを感じてしまった。





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theme : WOWOW/スカパーで観た映画の感想
genre : 映画

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