ガタカ

6月28日ムービープラスにて
遺伝子操作で優秀な適格者が中心に生きる近未来で、夫婦の自然な愛で生まれてきたヴィンセントは、生まれながらに心臓病と言う死因とその寿命を予測されていた。わずか30歳。最初の子供が病弱であったことから両親は、次の子供を、その時代ではそちらが普通と言う選択で子供を持つ。当然弟は優秀で、あっと言う間に背丈も追い越していく。弱視で歯並び悪く、弟と競い合っても負ける事ばかりだ。
そんな彼は希望を宇宙に見出し、何時しか宇宙パイロットに成る夢を見るようになっていた。
両親には彼への愛は充分にあったと思う。ただ、その肉体の限界を知っているだけに、お前には出来ないと言ってしまう。それは愛するゆえかも知れないが、ヴィンセントを失望させていく。現実は社会に出ようとするときにやってきた。「神の子」と呼ばれ自然体で生まれてきた彼は、尿検査や血液検査の遺伝子検査のみで、しかるべき職業に付ける可能性はない。
そんな彼だが、ある日弟アントンとの競泳で勝つことが出来たヴィンセントは家を出て、社会の底辺で掃除人として生きていた。
だが夢をあきらめ切れない彼は密かに体を鍛え、宇宙について学んでいく。だが、遺伝子の壁は乗り越えられない。ついに彼は優秀な遺伝子を持ちながら、それゆえに悩み自殺未遂の果て足の不自由になったジェロームと契約を結び彼に成りすますことにした。
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なんだか夢中になってあらすじなんかを書いてしまいました。続きが気に成る方は一番上のgoo映画のところからストーリーをチェックしてくださいね。私らしくなく、その物語を書いてしまったのは、この物語を知ってもらいたいという思いが生じたからかも知れません。
静かに進んでいくSFでしたが、サスペンス色も強く魅せられます。
ユア・サーマンが知的な女性局員を演じていたのも魅力的でした。ヴィンセント役のイーサン・ホークの不屈の人と言うイメージも良かったです。ますます好きになりました。でも、印象深かったのはジュード・ロウのジェロームでした。
水泳の選手として名を成していますが、その力は「金」の実力がありながら、銀に甘んじていることに絶望して死を選ぼうとしていたのです。優秀なものにはそれなりの絶望かも知れませんが、ヴィンセントからしてみればくだらない悩みに聞こえたかもしれません。
でも、彼らは二人で一人。その友情のようなものがとっても素敵でした。
地球には居場所がないと感じ宇宙に憧れていた彼ですが、その地球での居場所があるということを感じながら、宇宙に飛び立っていくラストが心に残りました。
また、同じとき彼を思ってジェロームがした決断がショックで悲しく、この物語をグッと締めたと思いました。
ゾンビも爆発もなく、銃撃戦もない、地味といえば地味かも知れませんが、こんなSFはたまらなく好きです。